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再生医療のメリットとデメリット

更新日:4 日前

膝の専門医が再生医療のメリットとデメリットを詳しく解説します!


 

再生医療は、膝の痛みや変形性膝関節症に対する新しい治療法として、近年注目を集めています。しかし、そのメリットだけでなく、デメリットも理解した上で治療を選ぶことが重要です。

このコラムでは、再生医療のメリットとデメリットを専門医の視点から詳しく解説します。


再生医療のメリットとデメリット

 

再生医療とは?


再生医療は、体が本来持つ自然治癒力を活用し、損傷した組織や細胞を修復・再生することを目的とした治療法です。膝の再生医療では、以下の方法が一般的です:

  • 高濃度PRP療法(多血小板血漿)

  • PRP-FD療法(凍結乾燥PRP)

  • APS療法(血漿調整療法)

  • 幹細胞療法

これらの治療法は、保存療法と手術療法の間に位置し、患者さまの症状やニーズに合わせた選択が可能です。さらに、手術を避けたい方やリハビリ期間を短縮したい方に適した治療法として選ばれることが増えています。


再生医療の相談

 

再生医療のメリット


再生医療のメリットは、以下のように多岐にわたります。


1. 手術を回避できる

  • 再生医療は、軽度から中等度の変形性膝関節症に適した治療法であり、手術を避けたい方にとって魅力的な選択肢となります。 手術は身体への負担が大きく、入院や長期のリハビリが必要になることが一般的ですが、再生医療ではそのような負担は回避できます手術に抵抗がある方や、仕事や家事などの都合で手術のための入院期間をつくるのが難しい方にとっては大きなメリットです。また、手術をいきなりする前に、「まずは再生医療を試して、症状の改善を期待する」という選択も可能です。


2. 自然な治癒力を活用

  • 再生医療は、患者さま自身の血液や幹細胞を利用するため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクはほぼありません。安全性の高い治療といえます。


3. 入院が不要

  • 通常、外来での短時間の治療で完了します。治療後はすぐに日常生活に戻ることができるため、仕事を続けながら治療を受けることが可能です


4. 痛みの軽減と機能改善

  • 炎症を抑える作用と、損傷部位の組織修復作用の効果で痛みが軽減し、関節の可動域が改善される可能性があります。関節の可動域が改善されると、階段の上り下りが治療前と比べて楽になる可能性があります。


5. 他の治療法との併用が可能

  • 再生医療は、単独で行うだけでなく、リハビリや装具療法と併用することで、より高い効果を得ることができます。

    • 再生医療と並行してリハビリを行うことで、柔軟性の獲得や筋力強化を同時に進めることができます

    • 膝のサポーターやインソールを使用しながら治療を行うことで、膝への負担を軽減しつつ、治療効果を高めることが可能です

    このように、再生医療は他の治療法と併用して行うことで、より効果的に症状を改善することができるというメリットがあります。


6. 高齢者にも適用可能

  • 高齢者は手術後の回復期間が長くなる傾向があり、体力の低下や合併症のリスクが懸念されるため、手術を避けたいと考える方が多いです。再生医療は入院が不要なため、高齢者でも体への負担が少ないため、無理なく再生医療を受けることが可能です。

    また、最近の研究では、再生医療を受けることで膝の機能が改善し、転倒リスクの低下にもつながる可能性が示されています。高齢者にとって、膝の痛みを改善することは、自立した生活を維持するためにも重要なポイントになります。


 

再生医療のデメリット


一方で、再生医療には以下のようなデメリットもあります。


1. 費用が高額

  • 再生医療は保険適用外の治療のため、治療費が高額になることがあります。また、治療後のフォローアップやリハビリ、必要に応じた追加費用も考慮する必要があります。そのため、経済的な負担をしっかり検討し、事前にクリニックで費用の見積もりや支払い方法を確認することが重要です。


2. 効果に個人差がある

  • 患者さまの年齢や症状、膝の状態(進行度)、生活習慣によって治療効果が異なるため、全ての患者さまに同じ効果が期待できるわけではありません。そのため、治療を受ける際には、適切な生活管理やリハビリを並行して行うことで、より良い結果を得ることができる可能性があります。


3. 長期的な効果が未知数

  • 再生医療は比較的新しい治療法であるため、長期的な効果やリスクについてはまだ十分なデータが蓄積されていません。

    • 例えば、人工関節置換術などの手術療法は数十年にわたるデータがあり、その耐久性や効果が明確に示されていますが、再生医療は歴史が浅く、数年後、数十年後の効果が完全には存在していません。

    このため、治療を受ける前に医師とよく相談し、自分の状態や期待する効果とリスクを天秤にかけながら判断することが重要です。


4. 治療期間が必要

  • 治療後、徐々に炎症の改善や組織の修復が進むため、ある程度の時間が必要です。即効性を求める方には向かない場合があります。治療の種類により効果が現れるまでの期間は異なるため、治療前後で医師に経過を相談し、焦らず治療を継続することが大切です


5. 全ての症状に適応できない

  • 軟骨が完全に消失している場合や、重度の変形性膝関節症には効果が限定的であり、全ての変形性膝関節症の患者さまに適しているわけではありません。

    • 軟骨が完全に消失している場合は、人工関節置換術などの手術を検討すべきケースもあります。

    • 関節リウマチや感染症が原因で関節が破壊されている場合は、再生医療ではなく、根本的な治療が必要となるケースがあります。

    このため、再生医療が自分に適しているかどうかを判断するためには、専門医の診断を受け、どの治療法が最適なのかを慎重に検討することが重要です


 

再生医療を選ぶ際のポイント


再生医療を検討する際には、以下のポイントを考慮しましょう。


  1. 信頼できるクリニックを選ぶ

    再生医療の経験が豊富な膝の専門医が在籍しているクリニックを選ぶことが重要です。


  2. 症状やライフスタイルに合った治療を選択

    自分の症状や生活スタイルに適した治療法を選ぶため、膝の専門医とじっくり相談しましょう。


  3. 費用の確認

    事前に全体でかかる治療費を確認し、経済的な負担を把握しておきましょう。


  4. 治療後のケアを理解する

    治療後のリハビリや生活習慣の改善も治療効果を高めるために重要です。理学療法士によりリハビリ指導を行ってくれる病院やクリニックを選ぶことが重要です。


  5. 長期的な視点で考える

    再生医療は治療後すぐの短期的な効果だけでなく、長期的な生活の質(QOL)を向上させる可能性があります。定期的に診察をしてもらえるアフターケアが十分なクリニックを選ぶことが重要です。


  6. 治療実績を確認する

    再生医療を行っているクリニックの症例数や成功率を調べることで、より安心して治療に臨むことができます。



    信頼できるクリニック

 

まとめ


再生医療は、手術を回避したい方や保存療法で効果を感じられなかった方にとって、新たな治療の選択肢となります。しかし、その効果やリスクを正しく理解した上で、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。

再生医療に関するご相談や詳しい情報を知りたい方は、ぜひ福亀会までお気軽にお問い合わせください。


 


亀田 和利


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